今週の全員営業(R)のポイント 第7話: 営業とは、ロックと演歌である!

130422営業はロックと演歌である

「営業って、いったい何を、どうすればいいんですか?」という質問は、
たびたび聞かれる質問です。相手によってわかりやすくなるよう表現を
かえますが、新人や営業未経験の方には、こういった説明をよくします。

ロック(≒ロックンロール)は、叫びです。演奏者が自らの主義主張を、
音と言葉で表現して、世間に問うもの
と考えています。

そのため、原則、本物のロックであればあるほど、自分たちで作詞作曲
しますし、音の出し方にもこだわりがあるため自ら演奏者を選んでバンド
を作ります。

そして、主要な楽器は、ほぼ必ずといっていいほど自分たちで演奏します。
デビュー当初やインディーズ時代は、まだまだメジャーとはいえないので、
宣伝や販売はすべて自前で行う必要がでてきます。

営業に置き換えると、新しく世に出た商品・サービス以外は、会社も含めて
すべてのお客様が、すでにどこかにある他社を利用しています。そのため、
通常の営業活動は、お客様が、いま他社で使っているものを、自社に置き
換えてもらうことを挿します。

インディーズやデビューしたてのバンドは、現在ファンとして聴いている
ロックバンドよりも、オレたちのバンドの方がいいぜ! ということを
主張して振り向いてもらわないといけません。

初回取引や取引初期の段階までは、ロックバンドが、小さなクラブハウスで
定期的にステージをやったり、チケットの手売なんかもしながら、新たに
自分たちのバンドを流行らせていくことと本質では同じなのです。

そして、ファンも、その時々の気分に応じて、複数のロックバンドを並行して
聞く傾向があります。また、メンバー自体も時代がかわったり、主義主張が
かわってくれば、変化したり、演奏する曲調が変化するなど、印象を与える
インパクトは強い反面、変化する要素も多分にあります。

だが、演歌は違います。人生を歌い上げます。人情の機微や人生の哀切や
人間の情念など、日本人の感情のひだに触れる普遍的なものを音と言葉で
表現したものと考えています。

そのため、歌手と作詞家・作曲家が同一である必要はありませんし、
演歌歌手が歌いながら楽器を演奏するのなんて見たことがありません。
歌に全身全霊を込める必要があるので、本人は原則として演奏しないのです。

そのスタイルで歌える環境を整えるために、プロダクションやレコード会社が
バックについています。歌を歌うことに安心して取り組める環境と仕組みを
手にいれる必要があります。

主義主張や楽曲そのものも大事ですが、声や歌い方など、歌手そのものの魅力や、
どんな歌を歌うかという安心感にも似た予定調和的なものに惹かれるファンを
作っていきます。演歌歌手の名前をつかって、○○節といった他の歌手とは
差別化された歌唱法で言い表されるのが、それを如実に表わしています。

そうなると、私の親戚の車にのった時のように、歌の歌詞は全然覚えようとも
しないのに、いつ乗っても北島○郎の曲がスピーカーから流れるようになります。
歌はどうでもよくて、その人が歌うのを聴く行為、そのものが好きになります。

もし、両方を兼ね備えることができれば最強です。ロックでも、演歌でもなく、
その人しか醸し出せない世界観に魅了されるお客様がつきます。

矢沢永吉や、美空ひばりなどは、その代表格といえるかもしれまぜん。ただし、
望んでも誰もがその最強のところに、たどり着けるかどうかはわかりません。
音楽や演者を超えた、その人だけが作りだす世界だからです。

しかし、きちんとしたレッスンをうければ、一定のところまでは必ずたどりつく
ことができます。

複式呼吸の発声により声量をあげたり、楽譜を読めて音程が理解できたり、
基本の基本的なコードを演奏したり、こぶしをきかせたりすることができるのです。

その会社の営業戦略にあったOJTやOFF―JTを、しっかりと行えば、
営業マンとして一定段階まで成長していくことは誰でも可能なのです。

営業活動は、まず自分たちの会社や商品・サービスのこだわりや興味や共感により
惹きつけるロックから入ります。そして、時間の経過とともに、その会社の出す
ものであれば間違いないという、安心感・信頼感にも似た差別化に惹かれるような
演歌へと移行していきます。

営業活動とは、短期ではロックだが、長期では演歌であるというゆえんです。