今週の全員営業(R)のポイント 第10話: 景気が良くなれば業績は戻るのか?

130521景気がよくなれば業績は戻るか
『せめて景気が良くなってくれれば・・・』

不況や業績が下がった時に、中小企業の営業会議や役員会議
の中で、必ずといっていいほど出てくる言葉の一つです。

最近は、アベノミクスという政府の施策により
作られた好景気が演出されています。

しかし、時代や状況や業種に関わらず、不景気になっても
業績堅調な会社もあれば、好景気になっても業績が悪いまま
の会社も、確実に存在します。

なぜ、そうなるのでしょうか?

冒頭の『景気が良くなってくれれば・・・』にちなんで
お話したいとおもいます。

紙面の関係上、結論を言えば…
景気がわるくなったことは、その会社とお客様との
取引がなくなるきっかけでしかない
ということです。

要は、お客様側の事情による判断と選択の結果により、
 あなたの会社への投資(メリット)<投資しない選択(メリット)
となった訳です。

売買では、常に、お客様側に100%決定権がある中で、
お客様が自分のお金を、どこに投資(又は貯蓄)するのが
一番妥当かという意識のせめぎあいの中で選択がされています。

仮に、当り前のように取引が続いている状態であっても
習慣的無意識に判断しているだけであり、緊急の治療費や
義務教育の費用といった、ある時期に必要不可欠なことが
明確なもの以外は、それが現実です。

いったん、お客様と会社の間で取引が切れた状態になると、
会社側の思惑とは、まったく別に恐ろしい未来が待っています。

取引がなくなった後、短期間ならともかく、半年~1年たつと
お客様に、その商品・サービスが不要な生活習慣ができたり
仮に必要でも、別の会社のものを使う購買習慣ができてしまう
のです。

更にその間、情報提供や連絡をしていなかったとするならば、
あなたの会社は、お客様の頭の中からスッカリ忘れられて
しまっていると考える方がいいくらいかもしれません。

あんなに懇意にしていたのに・・・と考えたくなるのはわかり
ますが、BtoB、BtoCに限らず、それが現実です。

例えば、BtoCであれば、あなたが、過去においてひいきに
していた飲食店や趣味の店やスポーツ用品などを考えれば、
いくつか思い当たるお店・会社・メーカーはありませんか?

だからといって、その全てにおいて、あなたに他意があった訳
ではないのです。

お客様が、不景気になり、少し取引を見直すといった場合は、
 ・過去のあなたが、配属先が変わって通勤ルートがずれたから
  行きつけの飲食店から足が遠のいたとか・・・
 ・たいした理由はないけど、なんとなくその趣味やスポーツを
  やめたことによって、用品を買わなくなった等
と同じなのです。

しかし、会社からすれば、取引していた相手が途切れてしまい
一定期間がすぎると、上記に書いた恐ろしい未来が待っています。

そのため、景気がよくなるとお客様が自然に戻ってくるだろうと
いう甘い期待をするのではなく、景気がどうあれ関係なく、
今いるお客様が100%取引継続するくらい支持されるには
どうすればいいか考え続けること。

景気が良くなるのは、あくまで付録程度に思って、いつも
地に足のついた営業のアプローチとフォローを続けること

中小企業にとっては、この2つこそが経営者の意思決定と
営業戦略上、正しい考え方と姿勢なのです。