全員営業のポイント 123話
経営には2種類ある ~その1~

151006経営には2種類ある~その①№123

総合メーカーの東芝、世界的な自動車メーカー
のフォルクスワーゲン・・・

それぞれの国を代表する企業でありながら、
いずれも不祥事で揺れています。

何万人もの従業員を抱える大企業で、創業者
でもなく、その家系でもないトップが一存で
それらの全てを行えるはずもなく、前任者も
含め関係した当事者が最大の病巣ですが、
会社組織そのものにも、不祥事を産み出し
続けた原因があることは、容易に推測できます。

規模の大小に関わらず、数十年と続いた会社
には、暗黙の組織風土が出来上がってきます。

何もかも規則で決めようとしても、いちいち
楽譜をみながらピアノを弾いたり、ルールブック
をみながらラグビーができないように、会社に
おいても、法律やそれに準拠する強制力を働か
せるもの以外は、暗黙の慣習や熟練の手順に
よって、さばかれることが多いものです。

こと個人の成長は横におき、組織の運営を考えた
ならば、その流れに従った方が、決められた作業
はスムーズに進みます。

しかし、ある種のことについては、その流れに
従えば従うほど、会社が悪い方向に進む懸念が
生じる場合があります。

そのある種のこととは何か?

 

それは、問題やトラブルへの対処です。

前任者から引継いだことで、自分の預かりしらぬ
ところで発生していた重大な問題やトラブルを
発見したとしたら、どうでしょうか?

オーナー社長であれば、反社会的なこと以外は、
仮に社長が最たる元凶であっても、まるで
トランプのババ抜きのように、1回パスという
感じで、誠実な対応をすれば、少なくとも社内
では、多めに見てくれることが多いものです。

しかし、ことサラリーマン社長であれば、例え
前任者がやっていたことで、自分には全く関係
ないことであっても、大株主でもなんでもない
ので、自分が火の粉を全面的にかぶらざるを
得なくなります。

20代の新卒の頃から、40年近くかけて、
出世競争を勝ち抜いてきた末にたどり着いた
果実です。しかも、自らの能力と同等以上の
幸運に恵まれたゆえの地位です。

そう簡単には手放せませんし、一度手放すと、
年齢的にも、地力的にも、敗者復活はまず
ありえません。

とすれば、どんな手を打つでしょうか?

前任者も、その前任者も、表には出なかった…。
俺だって、あと数年、表に出なければいいだけ
ではないのか?。そもそも、俺がやったことでは
ないんだし…

 

かつて、ある先輩から聞いた話です。
その人は、新人の時に、ある課長から仕事を
色々と教えてもらったそうです。

単なる上司・部下というよりも、同じ高校・大学
をすごしたか、あるいは親戚であるかのごとく、
時には厳しく、いざという時には、自分の代わり
に矢面にたって守ってくれることもあったそうです。

転勤が決まった後、一緒に酒を酌み交わしたときに、
こうたずねたそうです。
「本当に感謝しています。ここまで成長できたのは、
○○さんのおかげです。でも、なんで、ここまで
親身になってくれたんですか?

『それはね、自分もかつてある先輩から同じように
育ててもらったからだよ。その人は、自分と君より
も、ずっと歳が違っていたんだ。同じように転勤する
ときに、“いつか○○さんのご恩にきっと報います”
といったら、こういわれたんだ・・・

 

そう思ってくれるのは嬉しい。しかし、自分も
先輩からそうして育ててもらった。それに、君から
恩を返してもらうころには、俺はもう定年だよ…

その恩は、俺じゃなく、君がこれから出会う後輩に
俺だと思って返してやってくれ。受けた恩は必ずし
も受けた人に返せるとは限らない。そういう時は、
次の人に、“恩送り”をすればいんだよ

問題やトラブルが発生した時、気付い時、
そこがその会社組織の分かれ目です。

先人が紡いできた誇りや社歴を、次の世代にも
繋げるために、恩送りの気持ちで火の粉をかぶって
でも、そこで歯止めをかけるか?

まぁ、時が解決するさと、先送りにするか?

仮に、それを見つけたのが、現場の管理職で
あるならば、会社のトップが、トカゲの尻尾切りで
済ませるのでなく、お客様にとって、どうするのが
いいかという視点で、会社全体で対処できるか?

普段いくら良いかっこを言おうが、その会社組織
や人間の本性は、そういう時に現れるものです。

最後に、ロシアのことわざを参考までに記しておきます。

「魚は、頭から腐る」

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