全員営業のポイント 125話
経営には2種類ある ~その3~

151020経営には2種類ある~その③№125

 

先日、ある会社で打合せをした際、「こういう
案って、どうなんですか?」という質問が現場
から上がってきました。

『全員営業』を会社に導入すると、今まで
社長の指示を待つだけだった営業組織でも、
自発的に営業施策の検討会をしたり、提案
が上がってくるようになります。

前回コラムでは、経営者および会社全体の意思決定
について述べましたので、今回は、もう少し現場の
動きに関連する内容についてお話します。

こと経営の施策や現場の動きについて、特に営業に
おいては、最初から100%成功することが保証
されているものなどありません。

もし、そういう人がいるならば、コンサルタント
ではなく占い師です。

成功確率が相当高い施策はあるにせよ、試行錯誤が
前提となります。「うちの営業は特殊」と発言する
経営者や経営幹部は本当に多いですが、こと営業の
施策を考える際には、そのような方々ほど、確実性
を求める傾向があるのは、違和感を通りこして、
不思議なほどです。

もし、「うちの営業は特殊」と本心で考えている
ならば、他社事例や、営業の原理原則にこだわらず、
今まで世の中になかった特殊あるいは奇抜な営業の
やり方を模索しなければならないはずです。

しかし、結局、経営競争力が長続きする施策という
のは、奇抜なものや手練手管でやるものではなく、
当たり前のことや普遍的なものが大半です。

 

例をあげるなら、業界において天才的な経営者が
いたとします。営業や社内の施策において、独特の
見解を持ち、それが会社の競争力の源泉となっている
場合は確かにありますし、ニュース性もあるので、
報道メディアでとりあげられがちです。

もし、その経営者が不老長寿で、会社の内外の環境
も変わらないならば、そのような会社でも長儲けは
可能になるでしょう。

しかし、私が知る限り、そのような会社ほど次世代の
経営および現場の継承者が同等以上の才覚を持って、
舵取りを行える確率は下がる傾向があります。

 また一見、同じように見える社員・お客様・競争相手
であっても、長期的には、必ず入れ替わっていきます。

ゆえに、一世を風靡するような流行の施策は、
時を経れば陳腐化したり、適応しなくなります。そして、
特殊であるほど、その賞味期限は短くなりがちです。

トンカツやテンプラは美味しいですが、かといって、
濃い味すぎて、毎日は食べられません。数十年に渡り、
毎日食べ続けられるのは、最終的に、ごはんかパンに
落ち着くのです。経営のやり方や営業の施策も同じです。

ただし、業績不振が継続している会社や、業界自体が
衰退している場合、症状によっては、毒が薬になる如く、
一時的な起爆剤として特殊な営業のやり方を実施する
ことはあります。

 

しかし、それはあくまで変革に向けた起爆剤としての
位置づけです。

そのような状況や施策は、10年単位で考えれば
到底続けられるものではなく、ある程度の時期がくれば、
儲け続けている会社ほど、至極当たり前の考え方に
立脚した普遍的な施策へと移行していきます。

それこそが本物の経営です。病気・ケガを手術で
治療した後の処置は、バランスの良い食事と規則正しい
生活で最も重要であり、それにより治癒へと向かいます。

会社は、別名法人といいます。しかし、各国で
語源は、微妙にそれぞれ違います。日本の先人が、
会社を表す別名に『人』という文字をつけた真意は、
今回私が述べたようななことも含めた深い洞察が
あるような気がしてなりません。

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