全員営業のポイント 151話
長儲けと高転びの組織にあるもの

 

160517長儲けと高転びの組織にあるもの№151

今年は、1月から毎月、年間ランキング上位に余裕で入りそうな
ゴシップが続いています。

中でも、私が注視しているのは、東京都知事の一件です。

ことの是非は、いずれ正式にはっきりする話であり、本コラムでは、
こと中小企業の経営に置き換えた際の重要な示唆についてお話します。

1.公私混同について
今回の知事の例は、極端すぎるケースですが、それに近いことは
実際の中小企業でも、稀に発生します。

ある会社では、出張に行く際、社長は高齢ということもあって
ビジネスクラスでしたが、役員の一人がファーストクラスで出張に
いったことがありました。

社長が直接指摘しても、仕事のパフォーマンスを上げるために
利用したという、どこかで聞いたような話が出てきましたが、
その人の場合は、実際に、年間で億単位の利益を生み出していた
こともあり、相談を受けた際に、むやみに事を大きくするよりも
徐々に言い聞かせてはどうか、という話をして、社長も内心は
別にして、許容し、判明時点での社内の理解も得られました。

以前のコラムにも書いたように、部下は、上司の悪いところは
指導しなくてもマネするため、その影響面は考慮しないといけ
ませんが、私企業であれば、この段階までなら、真に投資以上に
収益に寄与していれば、多少の融通は、会社としても黙認すると
いうのもありえます。

とはいえ、好景気の不動産会社で見かけたように社用車のベンツ
を社員が休日に温泉旅行やデートに使うというのは論外です。

 

2.トップの本質について
なぜ、極端な公私混同が発生するか?。

公私混同が発生するのは、仕事力ではなく、人間力の領域です。

業績を上げる能力が高いということと、自己を律する能力が高い
というのは、別の要素なのです。

大半の人は、入社日から仕事における人間力が高い訳ではありません。

社内の人々と協調して仕事を行い、社外の関係者とも良好な関係性を
構築し、それを何年と維持する上で、必要になるからこそ、厳しい
指導や壁に当たりつつも、人間力が高まっていかざるを得ないのです。

しかし、そのような過程をたどるには、一つの条件がいります。

それは、誰かの部下という立場です。その立場であれば、他者からの
指摘があるため、気がつき、改善できるチャンスが発生します。

しかし、残念ながら、最初からトップの社長は、誰かの部下という
立場になれません。ゆえに、社内で人間力に関して指導してくれる人が
いません。

仮に、10才も20才も年齢が若い部下から諫言があったとして、
果たして素直に受け取れるでしょうか?

今回の某知事のようなケースを例にとれば、組織運営におけるトップ
の本質が理解できていないから発生しているともいえます。

中小企業に置き換えれば、自分が創業した会社だから、あるいは
親の代からの会社だからという考え方が悪い方向に流れてしまうのが、
部下に公私混同するなと言いながらも、組織内に、社員ルールと
自分ルールという、2つの相反する規範が生まれる最大の要因です。

そこから導きだされるのは、組織のトップであるということの本質は、
役割であって、決して権利ではないということです。

もし、それを失念したトップのいる会社は、どうなるか?

それについては、イギリスの歴史家、Jアクトンがピッタリの格言を
残しています。「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」

 

3.処方箋について
社長の役割を組織運営という軸で観察すると、会社を社会的かつ機能的
に成立させる上で、組織のトップが必要であり、その役割を社内外で
遂行するために設けられています。

その役割を遂行するために必要ゆえ、社内外において、一般社員よりも
優位かつ広域の領域に影響を与えることができますが、だからといって、
「俺が、カラスは白いと言えば、白いんだ」というのは、頭の中が、
封建制度の江戸時代のままと言わざるを得ません。

いまの日本では、殿様はいませんので、さしづめ俺様といったところです。

しかし、どうしても、自分のやりたいようにやらないと気が済まないので
あれば、そういう人が輝く道もあります。組織において、人の上に立つ
役割を担うのではなく、一匹狼や純粋にオーナー投資家として、社会に
貢献すればいいのです。本人も幸せで、周囲にも迷惑がかかりません。

しかし、会社が一定規模以上になり、家族経営を脱却し、会社を一歩出たら
他人である管理職や社員と協働で目的を達成するには、それらの人々の模範
となるよう自分を律する必要がでてきます。

社内の誰からも注意されることがないトップが自分を客観視して律する
には、頭の片隅に、社長の役割や仕事が遂行できるのも、部下たちが、
しっかりと仕事をしてくれるからという「おかげ様の感謝の気持ち」がある
かどうかが大きく関わってきます。

それが薄いか、あるいはまったくないとすれば、部下への配慮や感受性が
なく、業績を上げることにしか興味がないトップになってしまうからです。

結果として、その尻拭いのために、どこかにしわ寄せがいくか、知らない
うちに、自分が法律か権力者のように振る舞ってしまうことで、一般社会
における暗黙の許容範囲から逸脱したり、極端な場合は、法的に是非を
問われるなど、思わぬところで足元をすくわれることにもつながりかねません。

今回の一連の報道は、単なるゴシップとしてすませるのでなく、
私自身も含めて、経営者であれば、もって他山の石とするのに絶好の題材
ともいえるのでは、ないでしょうか?

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